俳句とみる夢

笠原小百合の俳句な日々。

『高濱虚子の百句』にて栞を挟んでおいた句

今日は所用があり、電車で渋谷まで。

行きも帰りも半蔵門線で東急2020系に乗れてうれしい一日でした。

 

電車に揺られつつ読んだのは、『高濱虚子の百句』(岸本尚毅・著、ふらんす堂)です。

数年前に読んだのですが、改めて今、百句とその鑑賞・解説を読み直すと当時とは違った発見がありました。

 

f:id:sayuri0311:20210130150648j:plain

 

とある頁に栞が挟んだままになっていたのですが、そこで再び出会った句にドキリとしました。

 

手を出せばすぐに引かれて秋の蝶   高濱虚子

 

大人が手を出せば素直にそれに引かれていく子ども。

出されたその手を疑いもせず、手を取り、手に引かれていく姿と、秋の蝶。

愛らしい動作を描いているのにどこか切なさのある句だなというのが、はじめてこの句と出会ったときのわたしの感想でした。

そして、次の頁。

岸本尚毅さんの鑑賞文には、虚子が幼くして亡くした孫娘を思って詠んだ句だとあります。

 

読書記録によると、この本を読んだのは4年前。息子が2歳になる頃です。

句の背景やわたし自身の背景、様々な要因が絡まり合い、親になりたてと言ってもいい当時のわたしの心に強く残った句でした。

そう、栞を挟んでおこうと思うくらいに。

 

そして今こうして再び出会って、やっぱり心に響く句だと思ったのでした。

 

笠原小百合 記