俳句に欠かせない、季語。
春であれば「早春」「山笑ふ」「猫の恋」などが季語の一例として挙げられます。
この連載では競馬大好き俳人である筆者が、季語の使われている競馬のレース「季語レース」をご紹介していきます。
今週取り上げる季語レースは、こぶし賞です!
こぶし賞とは
こぶし賞は、3歳1勝クラスの特別競走です。
クラシックレースを目指す馬たちが賞金加算のために出走してくることが多いです。
季語:辛夷
「こぶし」は漢字では「辛夷」と表記されることが多いです。
日本原産のモクレン科の落葉高木で、木蓮に似た白色の花を咲かせます。
仲春の植物の季語で、「木筆」と書くこともあります。
蕾が拳に似ているので「こぶし」という名となったという説をよく耳にします。
呼び名が多いので「山木蘭」「幣辛夷」「やまあららぎ」「こぶしはじかみ」「田打桜」など傍題も多めです。
わが山河まだ見尽さず花辛夷 相馬遷子
次に、「辛夷」の句をご紹介します。
〈わが山河まだ見尽さず花辛夷〉という相馬遷子の句です。
ふるさとの風景を眺めていると、見慣れたその中にも毎回発見があります。
「わが山河」は作者の故郷とも、この国全体ともとれるように思います。
何度も巡ってくる季節の中で「花辛夷」を見つけられるように、まだまだこの世界を見尽すことはない、という内容の句だと筆者は解釈しました。
「花辛夷」の柔らかな白さから、「まだ見尽すことが出来ていない」というマイナスの感情ではなく、作者はあくまで前向きな姿勢でいることを伝えてくれます。
「まだ見尽さず」にいる世界、これから見ることの出来る景色のことを考えると、なんだかわくわくしてきますよね。
過去の優勝馬:オリエントチャーム
今回はこぶし賞の過去の優勝馬の中からオリエントチャームのことを記します。
2017年にG1・マイルチャンピオンシップを勝利したペルシアンナイト。
その母としてオリエントチャームの名を再び耳にしたとき、懐かしい記憶が甦りました。
オリエントチャームはゴールドアリュールの全妹ということで現役時代に注目していた1頭でした。
ゴールドアリュールはダートの王者でしたが、オリエントチャームはすべてのレースで芝を走っています。
デビュー戦、こぶし賞を勝利したものの春のクラシックへの出走は叶わなかったのですが、秋の大一番、秋華賞へ出走。
11番人気ながら4着と健闘しました。
2006年のマーメイドステークスでは、ソリッドプラチナムの3着に入ったことも記憶しています。(もしかしたら馬券が当たったのかもしれません。それで覚えているのかも)
調べてみたら、マーメイドステークスのときも11番人気でした。
人気薄のときに上位に食い込む姿が特に印象に残っていたのかもしれません。
2021年こぶし賞注目馬
今年のこぶし賞は、シャドウエリスに注目しています。
前走の赤松賞は4着でしたが、内容は決して悪くないと思いました。
お母さんのパールシャドウが好きだったので、応援したい気持ちもあります。
新馬戦勝ちを収めているヤマニンルリュールも気になりましたが、今回がデビュー2戦目ということで少し様子を見たいところ。
2番手として推したいと思います。
笠原小百合 記