俳句に欠かせない、季語。
夏であれば「入梅」「紫陽花」「浴衣」などが季語の一例として挙げられます。
この連載では競馬大好き俳人である筆者が、季語の使われている競馬のレース「季語レース」をご紹介していきます。
今週取り上げる季語レースは、夏至ステークスです。
夏至ステークスとは
東京競馬場ダート1600mで行われます。
ダート戦としての夏至ステークスは2013年に設立されており、レースの歴史はまだ浅いです。
2015年、2016年はダート1400mで開催されました。
梅雨の時期ということもあり、良馬場で行われたのは2017年のみ。
突然の豪雨に見舞われることもある昨今は特に、馬券検討の際には重馬場、不良馬場も想定しておいた方が良いかもしれませんね。
季語:夏至
二十四節気の一つで、今年は6月21日が夏至の日取となっています。
北半球において、太陽の黄経が90度に達し一年のうちで昼の長さが最も長くなります。
夏至は「鹿角を解く」「蜩始めて鳴く」「半夏生う」の三候に分けられ、夏至が終わると、いよいよ季節は晩夏へと移っていきます。
地下鉄にかすかな峠ありて夏至 正木ゆう子
次に、「夏至」の句をご紹介します。
今回は〈地下鉄にかすかな峠ありて夏至〉という正木ゆう子の句です。
地下鉄に季感を見出すのは正直難しいと自分で作句をしていて感じますが、掲句のポイントは「かすかな峠」があるという発見でしょう。
暗くてわかりにくいのですが、地下鉄には高低差が結構あります。
駅に着く直前は上り坂にして車体が止まりやすいように、発車後は下り坂にして加速がつきやすいようになっていることが多いです。
それ以外にも高低差を感じられる箇所も多く、意識して乗ってみると結構わかります。
それを「かすかな峠」とした作者。
いかに地下鉄に意識を集中させているかがわかりますし、何より見えない暗闇に「峠」を見出した感覚の鋭さが素晴らしいです。
「夏至」でなくてもいいのでは?という声も聞こえてきそうですが、これからどんどん暑さが増していく外界に地下鉄から思いを馳せるというシチュエーションがこの句においては重要だと私は思います。
「ありて」で一呼吸置いてから「夏至」がやってくるのも、作者の思考をそのまま表しているかのようです。
過去の優勝馬:カフジテイク
夏至ステークス過去の優勝馬の中から今回はカフジテイクの思い出です。
カフジテイクといえば2017年の根岸ステークス!
ブロードアピールもびっくりの驚異の末脚で見事勝利したのでした。
最後方からの大外一気、本当に鮮烈でした。
1頭だけ違う脚色で次々と他の馬たちを追い抜いていく様は、見ていてとてもスカッとしました。
カフジテイクはダートの短距離を主戦場にしていましたが、中央競馬にダート短距離G1はありません。
しかし、ダート1600mのフェブラリーステークスでは3着を残していることからも、力が全く足りなかったわけではないとわたしは思います。
多くの力のあるダート馬たちは活躍の地を求めて地方競馬のレースに出走しますが、中央にも短距離のダートG1があればなあ、とつい考えてしまいます。
カフジテイクは中央在籍中のG1勝利はなりませんでしたが、現在は地方へ移籍し、息の長い活躍をみせてくれています。
これからの活躍も期待したいです。
2021年夏至ステークス注目馬
今年の夏至ステークスで応援したい馬はバンブトンハートです。
サウスヴィグラス産駒というのも良いですね。応援したくなります。
戦績を見てもここ2走はどちらも2着しており、状態は上向きなのかなと思いました。
ただハンデがやや見込まれたかなというのと、中1週でのレースがどう出るかという不安も若干あります。
あと所属の粕谷厩舎からこのレースは2頭出走しており、そういうときは人気のない方が来ることが多いので。
そういったことからもバンブトンハートは狙い目かなと思っています。
笠原小百合 記