俳句とみる夢

笠原小百合の俳句な日々。

季語レース紹介【6】「若葉ステークス」

俳句に欠かせない、季語。

春であれば「風光る」「蝶」「花見」などが季語の一例として挙げられます。

 

この連載では競馬大好き俳人である筆者が、季語の使われている競馬のレース「季語レース」をご紹介していきます。

 

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今回取り上げる季語レースは、若葉ステークスです!

 

 

若葉ステークスとは

若葉ステークスは、3歳オープンクラスのリステッド競走です。

舞台は阪神競馬場、芝2000m。

クラシック第一冠である皐月賞への出走を目指す若駒たちが集います。

2着までに皐月賞の優先出走権が与えられます。

 

季語:若葉

若葉ステークスの由来である「若葉」は初夏の植物の季語です。

初夏となり、瑞々しさ、新鮮さを感じる木々の新葉のことをさします。

「朴若葉」「樫若葉」など木の名前をつけることもあれば、「山若葉」「里若葉」など場所と共に表現することもあります。

「若葉」は夏の季語ですが、実際の若葉ステークスのレースが行われるのは「春」です。

季節は実際とは異なりますが、皐月賞へ向け若駒たちの新たな出発点という意味で捉えてみれば、「若葉」という言葉をレース名にしたのも頷けます。

 

ざぶざぶと白壁洗ふわか葉かな 一茶 

次に、「若葉」の句をご紹介します。

ざぶざぶと白壁洗ふわか葉かな〉という小林一茶の句です。

 一読して、とても気持ちの良い句だと感じます。

「ざぶざぶと」は豪快なイメージ、「白壁洗ふ」からはすっきりとした眩さも感じます。

そして「ざぶざぶと白壁洗ふ」のは何だろうと読み進めると、それはなんと「わか葉」だと言うのです。

ここに意外性があり、それでいて納得感を得ることもできます。

直接描かれてはいませんが、「白壁」に当たるように「わか葉」を揺らしていく爽やかな風も感じられ、まさに初夏の景を写し取ったかのようにリアルに感じられる一句となっています。

 

過去の優勝馬トウカイテイオー

若葉ステークス過去の優勝馬の中からトウカイテイオーについて書きます。

 

トウカイテイオーは今やウマ娘効果で人気が出ているようで、わたしが解説するまでもないと思います。

当時を知る者としてただ一言言えるのは「本当に格好良い馬でした」ということだけなのかもしれません。

 

骨折から幾度も復活し、走り続けたトウカイテイオー

ラストランとなった有馬記念は、本当に衝撃を受けました。

「強い馬はやっぱり強いんだ」と幼心にも思ったことを記憶しています。

 

1990年のオグリキャップのラストランで競馬好きになったわたしは、翌年のトウカイテイオーの活躍を見て、ますます競馬に夢中になりました。

当時は小学校1年生で三冠が何かもよくわかっていなかったと思うのですが、クラシック戦線の盛り上がりはよく覚えています。

だから菊花賞への出走が叶わないと知ったときはショックでした。

わたしは、トウカイテイオー三冠馬になるものだと思っていましたから。

 

また、血を繋ぐことの難しさを教えてくれたのもトウカイテイオーでした。

ステイゴールドの仔、孫たちをこうして応援できていることは、本当に奇跡みたいなことだなと改めて今思います。

けれど、トウカイテイオーはその生き様をもってして、今でもわたしたちに競馬の面白さ、素晴らしさを伝え続けてくれています。

こうして語り継ぐことで、トウカイテイオーはいつまでも輝きを放ち続けることができるとわたしは思います。

 

2021年若葉ステークス注目馬

今年の若葉ステークスの注目馬はヴァリアメンテです。

前走の若駒ステークスでは雨の重馬場の中、最後方から一気に直線を駆け上がりクビ差の2着でした。

そのときの大外一気の末脚は、何度見ても惚れ惚れしてしまいます。

他の馬とは加速が違いました。

若葉ステークスの行われる土曜日の阪神競馬場の天気は、今の所晴れのち雨の予報。

はやめに雨が降り始めて少し渋った馬場になることも考えられるので、重馬場でも能力を発揮できるヴァリアメンテは魅力的に思います。

 

ステイゴールド一族であるフェノーメノ産駒のタイフォンももちろん全力応援!

和田竜二騎手との新コンビに期待したいです。

 

笠原小百合 記