俳句とみる夢

笠原小百合の俳句な日々。

【日常】猫の血痕を拭く

猫の血痕を拭くことが増えた。

 

愛猫ジャスタウェイ、通称「じゃす」の乳腺腫瘍が発覚してから3年が過ぎようとしている。

一度は手術をして取り除いたが、約1年後に再発。

生まれつき腎臓が片方しかなく、麻酔に耐えられるかわからないと言われた。

悩んだ結果、手術は諦め、経過観察を続けることにした。

 

腫瘍はどんどん大きくなり、じゃすの皮膚は今にも限界を迎えそうだ。

それでも、名前を呼べば駆け寄って来るし、返事もする。

変わらずに甘えて来るし、食は細くなったけれど大好きなおやつは沢山食べられる。

 

つらい様子は他人に見せない。

それが、猫という生き物だ。

だからこそ、寄り添っていてあげたい。

わたしはじゃすが大好きで、じゃすもわたしが大好きだから。

 

文字通り血を流しながら生きているじゃす。

そんな姿を前にして、わたしに出来ることはただじゃすの名を呼んで、撫でてあげることだけ。

無力。

このまま、じゃすが静かに苦しみながらその命を閉じていくのを見守るしかないのか。

少しでも、少しでもじゃすが苦しくないように。

餌台の高さを調整したり、肌触りのよいタオルを敷いたり。

膿で汚れた毛を綺麗にしたり、じゃすの残した血痕を拭き取ったり。

こんなことしか出来ない。

でも、どうしても最期まで一緒にいたい。

わがままなわたしの願いをじゃすは黙って聞いてくれている。

 

今日は珍しくわが家に来客があった。

猫好きの句友で、初めて会うじゃすのことをとてもとても可愛がってくれた。

沢山撫でてもらえてよかったね、じゃす。

沢山名前を呼んでもらえて、嬉しそうだったね。

わたしも嬉しいよ。

 

 

句友の帰宅後、また出血があった。

じゃすの血痕を拭きながら、涙が出そうになった。

でも、泣かない。

その時まで、わたしはじゃすの血痕を拭き続ける。

その覚悟は出来ている。

 

小百合