「句具ネプリ -冬至-」好きな句への感想、その3です。
海鼠桶さみしき水の残りけり 紺乃ひつじ
「さみしき水」の捉え方は色々ありそうですが。
「水がさみしがっている」という読みをしたら、海鼠と水の親しさに切なく愛しくなりました。
読後に残る寂しさを味わいたい句です。
綿虫の集まりさうな静電気 西川火尖
「綿虫」という字の印象からも、いかにも「静電気」に集まりそうで納得した句。
バチッと一瞬強く流れるのではなく、じんわりと肌に張り付くような静電気なのでしょう。
「綿虫」に馴染みのある地域の方はどんな風に読み取るのか、聞いてみたいです。
好きになる少し手前の冬すみれ 由づる
きゅん。とにかく、きゅん。恋をしていた頃の気持ちが思い出されました。
好きかも?と思い始める微妙に揺れ動く心中。そこに咲く、冬すみれ。
健気にひそかに咲く「冬すみれ」に気づけるかどうかは、その人次第なのですね。
笠原小百合 記