「句具ネプリ -冬至-」好きな句への感想、その2です。
もつ煮みたいにどろどろ年を惜しむかな いかちゃん
すごい!と思うけれどその凄さをうまく言語化出来ない句というのがあって。
この句はわたしにとってそういう句でした。
具体的にどういうことかよくわからないし、言っていることにとても共感したというわけでもないのに、なぜか猛烈に圧倒されました。
ふくろふは火のうらがはのやうなかほ 小鳥遊五月
「火のうらがは」とは一体どこのことを指しているのでしょうか。
わたしは、現実には目で見ることは難しい概念的なものを想像しました。
平仮名と文語の表記に感じる穏やかな妖しさが、「ふくろふ」のイメージと重なります。
冬晴やぽかんとひらく袋菓子 八日きりん
これはもう「冬晴」がお見事。
あっさりすっきりさっぱりしていてとても好感が持てます。
さらりと詠むことで、日常の一瞬が特別な瞬間に変わる魔法を見せられた気分です。
笠原小百合 記