俳句とみる夢

笠原小百合の俳句な日々。

感想

浅川芳直句集『夜景の奥』感想「描き足していく地図」

若手と呼ばれる俳人が評されるとき、その句の瑞々しさに注目されることが多い。「若くてフレッシュな句」がその俳人の年齢という情報から余計に強く印象に残るというのもあるだろう。第一句集『夜景の奥』をご上梓された浅川芳直さんも所謂若手と呼ばれる括…

俳人協会評論講座の動画を視聴しました

今日は俳人協会評論講座の動画を視聴しました。講師は小澤實先生、坂本宮尾先生。進行は角谷昌子先生。 内容は実際の評論の書き方について、かなり具体的に踏み込んだものでした。非常に参考になったし、やる気も出ました。 まず、よく読む。そして、自分で…

柴崎友香『続きと始まり』を読みました

猫氏のこともあり眠れなかったので、小説を読みました。柴崎友香さんの『続きと始まり』(集英社)という長編小説です。 www.shueisha.co.jp 全く別々の場所に暮らす3人の日常を描いた物語。3人は知り合いでも何でもないのだけれど確かに同じ世界を生きてい…

俳句総合誌の特集との向き合い方

角川俳句2月号の大特集「省略」を読んだ。 「切れ」とか「写生」とか「省略」とか。 この手の内容は繰り返し特集されており、句歴が長くなってくるにつれて「ああ、またか」と思ってしまうこともあるだろう。 しかし、だからと言って全く読まないというのは…

都電歌会に参加してきました

昨日のこと。 短歌のことは何もわからない初心者が、都電歌会に参加してきました。 「都電を一両貸し切って歌会をする」という楽しそうな響きにつられてほいほい申し込んだものの、短歌は興味本位でちょこっと手を出している程度の私。 短歌とはなんぞや、と…

池田澄子句集『月と書く』より好きな十句

本来であれば荻窪の鱗さんの読書会(昼)に参加の予定だったが、諸事情により欠席に。 課題本である池田澄子さんの句集『月と書く』より十句を選んでいたので、今日はそちらをご紹介したい。 池田澄子句集『月と書く』より好きな十句 秋祭ゆく水に灯の映りそ…

映画『PERFECT DAYS』を観ました

先週の土曜日のこと。 急に思い立って、映画館へ行った。 『PERFECT DAYS』という映画を観るために。 www.perfectdays-movie.jp とても良かった、と色々な人からの噂が流れてきて、 気になるし、なんか良さそうだし、行ってみようか。 そんな気軽なノリで、…

夏目たかし句集『かたつぶり』より好きな十句

俳句をやっていると、普段の生活の中では知り合えないような方々と句座を共にすることがある。 夏目たかしさんも私にとってそんな御方のひとり。 とある超結社のネット句会でご一緒させていただいているのだが、 つい最近まで夏目さんが東京逓信病院名誉院長…

勝てる俳句、勝てない俳句

「自分を見つめて、17音。~俳句甲子園2023~」を視聴。 Eテレで再放送されることに気づき、録画した。 俳句甲子園は好きで応援していて、俳句をはじめてから毎年楽しみにしている。 高校生という時間の中で生まれる俳句。 そこにとても興味があるのは、自分…

新鋭俳句賞公開選考会へ行ってきました

10月22日、日曜日。 俳人協会の新鋭俳句賞公開選考会へ足を運びました。 普段、若手句会で利用している俳句文学館の地下ホールですが、 カメラも入り、報道席もあり、前方には選考委員の先生方のお名前が並び、 いつもとは違った緊張感で空気が張り詰めてい…

吉田哲二さん第一句集『髪刈る椅子』刊行PARTY

ぐっと涼しくなってきた9月23日土曜日。 吉田哲二さん第一句集『髪刈る椅子』の刊行記念PARTYに参加しました。 furansudo.ocnk.net 私は結社の毎月の吟行である探勝の会(目黒不動周辺、嘱目10句)が終わってから、 30分ほど遅れての参加となりました。 マン…

「句具ネプリ -冬至-」好きな句【3】

「句具ネプリ -冬至-」好きな句への感想、その3です。 海鼠桶さみしき水の残りけり 紺乃ひつじ 「さみしき水」の捉え方は色々ありそうですが。「水がさみしがっている」という読みをしたら、海鼠と水の親しさに切なく愛しくなりました。読後に残る寂しさを…

「句具ネプリ -冬至-」好きな句【2】

「句具ネプリ -冬至-」好きな句への感想、その2です。 もつ煮みたいにどろどろ年を惜しむかな いかちゃん すごい!と思うけれどその凄さをうまく言語化出来ない句というのがあって。この句はわたしにとってそういう句でした。具体的にどういうことかよくわ…

「句具ネプリ -冬至-」好きな句【1】

「句具ネプリ -冬至-」の特に好きな句への感想です。 座布団は人の大きさ石蕗の花 有本仁政 「ああ、たしかにそうだ」と納得。助詞「は」がやさしく響きます。座布団の大きさに加えて、その厚みも見えてくるよう。「石蕗の花」の明るさが句全体のあたたかさ…

俳人協会サイト、今月の「俳句の庭」を読みました

俳人協会のサイトに「俳句の庭」という連載があります。 俳句にまつわる短いエッセイで、今月は「知音」代表の西村和子先生がご担当。 「トッチート・トトチート」という不思議なタイトルに惹かれながら読みました。 www.haijinkyokai.jp 海外では鳥の鳴き声…

NHK俳句(2月7日放送)を見ました

本日(2月7日)の朝に放送されたNHK俳句。 今週の選者は小澤實先生で、ゲストは小野あらたさんでした。 実はわが師である水田光雄先生以外の方の句集で、はじめて自分で買った句集が小野あらたさんの『毫』でした。 俳句をはじめて間もないわたしは、あらた…

箱森裕美句集『脱ぎ捨てて』 ブレない視点と狂気に似た何か

箱森裕美さんの句集『脱ぎ捨てて』を読みました。 第十回百年俳句賞の最優秀作品から成る句集で、俳句ライフマガジン『100年俳句計画』1月号の付録として発行されました。 箱森裕美さんの句は「清新でヴィヴィッド」というのが第一印象でした。 水分の多い果…

『高濱虚子の百句』にて栞を挟んでおいた句

今日は所用があり、電車で渋谷まで。 行きも帰りも半蔵門線で東急2020系に乗れてうれしい一日でした。 電車に揺られつつ読んだのは、『高濱虚子の百句』(岸本尚毅・著、ふらんす堂)です。 数年前に読んだのですが、改めて今、百句とその鑑賞・解説を読み直…

寺澤佐和子句集『卒業』 人生を刻む俳句

寺澤佐和子句集『卒業』を読んでの感想を記します。 佐和子さんとは俳人協会の若手句会を通して知り合いました。 包み込むような笑顔でいつも真っ直ぐに向き合ってくださり、文語文法にもお詳しく、そういった意味でも頼りになるお姉さまです。 そんな佐和子…

俳句×短編小説プロジェクト『周辺の物語』を読みました

先日、子連れ句会でご一緒させていただいている三倉十月さんのネプリをコンビニにてプリントしました。 『周辺の物語』というタイトルです。 掲句を直接のモチーフとしない、俳句×短編小説プロジェクト。 ということで、俳句から得たインスピレーションから…